Only One



彼が送りつけるメールの中には、今日私が過ごした1日を、事細かに記してあるものがある。

いつ起きて、何時に朝食を食べて、いつ家を出て――…


それだけでもゾッとするのに、朝、ポストを開けると必ず入っている赤の封筒。


その中には――…私の写真が1枚だけ。


それは、1日の中で何枚も撮った写真の中から彼が気に入ったベストショットだと、メールに書いてあった。


怯える毎日。

彼が怖い。

でも私が1番怖くてたまらないのは――…


彼をあんな風に変えてしまった、私自身だった。


私の何が彼を変えたのだろうか。

考えても考えても答えが出ない。


分からなくて怖い。

分からないから怖くなる。


もがけばもがくほど、彼に囚われて行っているような気がして――…


何も身動き出来なくなった結果が、これだった。




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