Only One



久しぶりだし、紗英さんにも会いたくて、中に入った。


カランカランッ

『いらっしゃいませー!』

「っ……」


―――のは、いいのだけれど、


男……っ


レジに立っていたのは男の人だった。

1番見たくもないのに…ッ


また、帰ろうとした時だった。


カコッ

『ショート、出来ました――…っ、…芹那ちゃん…?』

「ぇ――…」


厨房から、甘い匂いを漂わせたショートケーキを持つ、いくとさんが現れた…。


『久しぶり、芹那ちゃん。』

「ぃくと、さん…。」

『…え、知り合い?』


いくとさんは驚きながらもレジの人にケーキを渡して、私のところに来る。

あの、優しい笑顔。

いくとさんだ――…ッ



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