Only One



なぜかいくとさんに会って、安心した。


「ぃくとさん…っ」

『ぇ、芹那ちゃん!?』


気付いたら、涙が溢れてた。

いきなりで、慌てるいくとさん。


『ぁー…すいません、奥借りても良いですか?』

『ぁ、あぁ…。』

『芹那ちゃん、こっち。』

「っ……」


優しく、手を掴まれて、奥に誘導される。

着いた場所は、ロッカーがいっぱい並んでて、1つだけテーブルと、2脚の椅子がある、小さな部屋だった。


『…どうしたの?』

「ごめんなさ…っ」

『謝らなくたっていいよ。何で泣いてるの?』

「ごめっ…私がっ…私が悪くてっ……!」

『芹那ちゃん…。』


泣きじゃくって、痙攣を起こす私に、優しく背中を撫でてくれるいくとさん。

ずっと謝り続ける私に、いくとさんは、“謝らなくたっていいんだよ”って、ずっと背中を摩ってくれていた。




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