Only One
『さっ!部屋も案内したことだし!もう4時だよ!ご飯ご飯~♪』
「あっ…ぁのっ、智愛ちゃん!」
『んー?』
楽しそうに階段を下りていく智愛ちゃんを、私は慌てて止めた。
「ご飯なら…私が作るよ。」
『えっ!?そんな良いよ~!仮にも芹那はお客さんだしぃ…。』
「いいやっ…気にしないで!ここで何もしないのは…嫌なの。これくらいさせて?」
『……分かった。じゃぁ、よろしく♪食事のことはすべて芹那に任せるわ!』
「ありがとっ…!」
この家の中で、私の役割がもらえて、すごく嬉しいと思う。
『ちょっと早いけど、私お風呂に入ってくる~』
「了解。」
一階に降りると、智愛ちゃんが鼻歌を歌いながらお風呂へと向かって行った。
私はと言うと、キッチンのところへ。
……確かこっちだったよね?キッチンって…。
今日、訪れた時のことを思い出しながら、キッチンへと向かう。
「ぁ、ここ、ここ。」
キッチンを見つけて、中に入ると、最初にコーヒーを作った形跡が見えた。
コーヒー豆も、カップも出しっぱなし。
ちゃんと片付けようよ、智愛ちゃん…。
そんなキッチンを前に苦笑いを零した私は、それらを片付けて、夕食を作り始めたのだった。