Only One
芽生える感情
――――『ただいま。』
「あっ…」
ご飯を作っていると、郁人さんが帰って来た。
「お帰りなさいっ…!」
『ぁれっ、芹那ちゃんが作ってるの?』
「はい…これくらいはしたいって、智愛ちゃんに私が言ったんです。郁人さんこそ……その荷物は…?」
郁人さんが抱えていたのは3つくらいある大きなキャリーバッグ。
中身が何なのか、全く想像できない…。
『ぁあ、これは――』
『おっ、やっと来たか、お兄ちゃん♪』
『智愛…。』
「………」
すると、笑顔の智愛ちゃんがやってきた。
今日、初めて会った時は智愛ちゃんの『お兄ちゃん♪』は、すごく可愛らしく聞こえたのに……
今となっては、何故か違和感しか残らない。
なんか、複雑……。