Only One



「……で、ではっ…本田さんの初恋はどんなだったんですか?」


そう思えるなんて、私にはできない。

私は、恋ができない女だから……。


『私?私は…、憧れだった人が初恋だったんだけどね、その人……当時付き合ってた彼女がいたのに、私にも“好き”って言ったの。』

「ぅわ……」


やっぱり男ってサイテー…。


『だから幻滅して終わり。もう恋なんて…って思ったけど、何だかんだ言って好きな人が出来て……。私ってきっと、恋してないと生きられないのよ。』

「へぇ…。」



多分、本田さんが幻滅したのはその彼のこと。

私は違った。

幻滅したのは、男という生き物そのものだった。

だから私は恋ができなくなったんだ。






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