規則の守護者
銃を受け取り、藤見と別れた後。


里中は、自室で銃を眺めていた。

手に取ってみて、やっぱり本物は重いなあ、なんて考える。


弾はご丁寧なことに最初から入っていた。

撃ち方は、藤見から習ってある。


「……でも、どうせ撃たないし」


里中には、撃ちたいほど憎い奴は思い当たらなかった。

……藤見はどうか知らないが、自分は撃たない。

里中は漠然とそう思う。


試しに、引き金へ指をかけてみた。

さらに孤空へ向かって構えてみるが、案の定、撃つ気なんてカケラも起きない。


「撃たないし、持ってるだけだし。

だったら別に、持ってるくらいならいいよな」


里中は、そう呟く。


里中には、撃つ気なんてさらさら無い。

とはいえ、藤見たち仲間への義理があるから、銃を持ち歩くことにはなるだろう。


別に問題ない、と里中は思う。

……どうせ、撃たないんだから。



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