規則の守護者
……だから、それはきっと、ほんの出来心だった。


日が落ちた森の中、里中は、見つけた人影の背へ銃を押しつける。


別に、撃つつもりも、脅すつもりも無い。

ただ、驚かせてみたかったというか、反応を見てみたかったというか。

友人の肩へ手を置いて、振り返った頬を指で突くような、

そんな些細な、遊び心ゆえの行為。


ごり、と銃口を押し付けてみて、まるで映画のようだと里中は思う。


銃を当てた背中の大きさは、里中とたいして変わらない。

服装からして男だろうが、小柄な部類だと言えそうだ。


……さあ、どんな反応をするかな。

里中は、期待を込めて、男の黒々とした頭を見た。



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