規則の守護者
銃を突き付けられた男は、悲鳴を上げることも手を上げることもなく、落ち着いた声でこう言った。


「こんな時間に、夜歩きですか」


声はひどく冷静で、里中は正直、拍子抜けした。

相手は、声の低さや口振りからして、高校生か大学生くらいに思える。


里中は考える。

いくら年上でも、銃が怖くないわけはないだろう。


とりあえず里中は、この妙な男と話をしてみることにした。


「夜、外に出てはいけないという決まりはない」


里中が強い口調でそう言うと、男はああ、と納得したようにうなずいた。


「確かにそうだね。

でも、夜道は危ないよ。

君の持つ銃と、同じ位にね」



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