規則の守護者
季節は、真冬を迎える。

体を刺すような冷たい空気は、怖いくらいに澄んでいた。


そんな、何もかもが息をひそめる夜。

瑞緒の前へ、立ちはだかる男がいた。

1年ほど前のことだったか。
瑞緒に妹を撃たれ、取り乱していた男である。


「……瑞緒。

俺はお前が憎い」


真っ黒な声を背に受けたので、瑞緒は振り返る。


夜目に見ても、瑞緒はひどくやせていた。

寒さへ耐えられずに、ぼきりと折れてしまいそうにすら見えた。



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