規則の守護者
熱さが、急速に薄れていく。

体に力が入らない瑞緒を、誰かが抱き起こした。


透き通った空気。

光っているのは星だろうか、街灯だろうか。


焦点の合わない瑞緒の視界に、妹を撃たれた男が映った。


「……あなた、ケガは、してない?」


瑞緒が問うと、男はかぶりを振る。

彼が違反の犠牲にならなかったことに安心して、瑞緒は目を閉じた。


たぶん自分はもうダメだ、そんな気がした。

もう、生きられない。


……自分は、正しく生きたかっただけなのに。


そう思いかけて、瑞緒は少し、付け加えた。


……できれば、もっと彼と笑いたかった。



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