規則の守護者
それから、こう続けた。


「ああ、後任を決めないとね。

だから部下を雇えと言ったのに、仕方がないなぁ。


そうだ。

ちょうどいい、君、後任になって」


妹を撃たれた男――江野総介は、唖然とした。


「嫌です。
こいつは、俺の妹の仇だ。

そんな奴の後を継ぐなんて」


だが、所長は、不思議そうに首をかしげる。


「だって君、彼女の最期の仕事ぶりを見たんでしょ。

だったら分かるよね。

この仕事の、大切さと大変さを」


総介は知っていた。

多くの住人が、好奇心から武器を収集していたことを。

ろくに整備もせずに振り回している者もおり、事故が起きたら嫌だなぁと思っていた。


幸い、事故が起きる前に、毎回瑞緒が没収していたが。



< 135 / 139 >

この作品をシェア

pagetop