規則の守護者
「それを……毎日、午後3時に見て下さい。

同じ時に、僕も空を見ます」


瑞緒は、写真から青年へと視線を移した。


「そういう決まりなの?」


青年は、にこりと微笑む。

青年にえくぼがあることに、瑞緒は気付いた。


「『決まり』じゃなくて、『約束』ですよ。

僕と、あなたとの。


決まりを破れば、道理が失われる。

約束は破ると、信頼が失われる。

だったら、僕達には約束の方が合っている。

そうでしょう?」


瑞緒は写真を見つめる。

綺麗な青。


「……そうね」


つぶやいた瑞緒を見て、青年は嬉しそうに笑った。

へこんだ頬に差した、わずかな赤み。

青空を照らす太陽は、きっとこんな感じなのだろうと、瑞緒は思った。



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