規則の守護者
それは決まりなのか、と問えば、

青年は違うと答える。


『約束ですよ。

僕と、あなたとの』


約束は規則ではない。


破ったところで、失われるのは信頼だけ。

名も知らぬ青年の信頼だけ。


規則による道理と比べれば、あまりに軽い。


約束なんて。

たかが約束なんて。



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