Train Love [完]
赤ちゃんが生まれてひとだんらく


あたしの今日の仕事が終わった


「赤ちゃんですよ、おめでとうございます」


嬉しそうに涙を流す安西さん


自分の子を産むことはこんなに嬉しくて涙が出るんだ


助産師なりたての頃あたしは、赤ちゃんが生まれるたびに泣いていた


あたしもこうして生まれてきたんだって


なぜか感動して涙が出てくる


それも最近はなくなった


でも、感動してるのは毎回同じ


その気持ちを忘れてしまえば助産師として終わりだと院長先生が言っていた


「小宮山さんお疲れ様、もう上がって良いわよ」
「院長先生もお疲れさまです」


ぺこっと頭を下げてあたしは更衣室へ向かった


帰り際に、たくさんの助手の人や男性の方と話しをした


「嫌だって言ってるでしょ!?あたしは産む!ママになんて言われようと産むのよ‼‼‼」


何歳ぐらいだろうか


15歳ぐらいの子が、お母さんに泣きながら訴えていた


子供ができちゃったのね


「ダメよ!貴女まだ中学3年生なのよ!?」


お母さんは頭を抱えながらはぁと息を吐いた


「あの、病院の中では静かにしてくださいね」
「あっすみません」


隣ではまだ泣いている女の子


彼女をほおっておけなくてあたしは彼女に話しかけた


「あなた何歳?」


< 195 / 217 >

この作品をシェア

pagetop