Train Love [完]
長い長い時間が過ぎて、やっと赤ちゃんが生まれた


あたしと健太の初めての子供


2月3日(水)
2600グラム
少し小さな女の子が誕生した


自分の赤ちゃんを抱いてあたしは涙を流した


うれし涙と、痛かった涙と、ほっとした涙


嬉しくてうれしくて、涙が止まらなかった


いったん分娩室から病室に戻って、ひと息ついていた


赤ちゃんは今だあたしの隣に居る


「赤ちゃん、あたしの元に生まれてきてくれてありがとう」


まだ目の開かない、赤ちゃんの頭を優しくなでて赤ちゃんに微笑みかけた


眠り続ける赤ちゃんを愛おしく思った


優莉の時を思い出すなぁ


あれからもう6年が過ぎだんだ


優莉ももうやんちゃで困ったよ


君はおとなしいおしとやかなかわいい女の子に育てなきゃね


君はどんな性格になるのかな


「始めまして、ママだよ...赤ちゃん」


赤ちゃんに手をそっととえると、赤ちゃんはあたしの小指をギュ―っと握りしめた


それにまた涙を流して、あたしは喜んだ


「りぃ~~~~~」


騒がしい子が来た...優莉だ


「も~、優莉し――――!!」


優莉はあわてて自分の口元を手で覆った


「莉子、頑張ったな。おっ俺らの赤ちゃん...始めまして、パパだよぉ」


健太はあたしと同じように手を添えた


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