空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜
「ゆ…ゆう…ぅ……」
あたしの目からは涙がこぼれていた。
言葉にならない恐怖が涙となってこぼれ落ちた。
「絢……?」
「ゆう……っ……怖い…っ」
「ごめん……。ごめんな……。泣くなよ……」
離された手……。
あたしが泣き止まないでいると優は、抱きしめて背中をさすってくれた。リズムをとるように背中を優しくたたいて慰めてくれる。
優の落ち着いた規則正しい鼓動があたしを落ち着かせ、安心させた。
「ごめん…。痛かった?」
「うん……」
「もうしないから……、ごめん」
申し訳なさそうに謝る優。いつもの優しい優の声だった。
「おわびに今からの楽しい時間を保証する」
泣き止んだあたしを優は、あたしがずっと見たかった映画を観に連れて行ってくれた。
そのあと、一緒にご飯を食べ、ゲームセンターにも行き、ボーリングにも行った。
「優、今日あたし全部優に出してもらってる……」
「気にすんな。楽しめよ」
ケーキ屋さんだけでなく、映画、食事などすべて優のおごりだった。
あたしの楽しんでいる様子を、
優はあたたかい眼差しで見つめていたことに気づいた。
あたしが笑うと優が笑う。
あたたかい笑顔があたしの不安を消し飛ばす。
楽しかった1日
撮ったプリクラを半分に切り優に渡す。
「げ、俺のこの顔、不細工すぎだろ」
ふたりで撮ったプリクラを見て、優は笑っている。
だから思いもしなかった……。
このあとに優があんなことを口にするなんて……。