空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜


「優っ」


「なに?」


「なんでもない! 優ぅ」


「なんだよ」





優の名前を呼ぶと返事をしてくれることが嬉しくて、
つい何度も呼んでしまう。





「また、普通に話してくれるんだよね?」



「あぁ。じゃなきゃ来ないって」





歯切れの良い返事に、あたしの笑みは深くなる。

そして、優に荷物を持たせてしまっていることにようやく気付いた。





「あっ優、ごめんね。自分で持つよ」


「気にすんな。ならこれ持って」





そういって渡されたのは、エナメルバック。

荷物は旅行バックに、ほかの筆記用具や小物は小さなサブバックに入れることになっている。





「優……」


「さっきから俺の名前呼びすぎじゃん」


「ありがとう」


「はいはい」





あたしは素直にお礼をいった。

そして優の大きな背中を見つめられるよう、
優の半歩後ろを歩いた。


気のせいだったのかな?

この時、優の耳が少し赤く見えたのは……。




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