空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜
「こんなことでも、嬉しかったりする」
「あたしもうれしいよ……」
手をつなぎ始めたばかりの頃はぎこちないつなぎかただった。
だけど今は、
幸せがあふれるつなぎ方……。
しばらくして陽はあたしの手を離すと、まっすぐに見つめてきた。
……急に……なに……?
「で、どうしてココで眺めてたわけ?」
少し笑みを浮かべながら聞いてくる陽。
……それを聞こうと思ってたんだよね、絶対。
「な、なんのこと?」
「スキー合宿に来て、見てるだけか?」
「さ、寒いし中入ろー……。 楽しんでね」
スキーができないなんて知られたくない。
恥ずかしい。
すると、あたしの体は宙に浮いた。
軽々と抱き上げられている。
「陽!? 重いからっ!!」
「うるせー。 今腹立ってんだよ」
それ以上なにも言わなかった。
……というか、言えなかった
陽の出しているオーラが恐すぎて。
そして連れてこられたのは、ペンションの屋上。
「俺様に探させたあげく『寒いからここにいる』なんて理由で通用すると思ってんの?」
「うっ……」
「で、言えよ。なんでスキーやらないのか」
「ヤダ」
「言え」
陽の目つきが変わった。
本気で気にしている……。
いまどきスキーが滑れないなんてありえない。