空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜
なにかを思いついたのか、陽はあたしの手を引いて今度はスキー場に降りていく。
嫌な予感がする。
しかし、不思議なことに嫌な予感は、的中してしまうんだ。
「一緒にやる」
「本当にイヤだよ……。陽!」
「なんでだよ」
「……トラウマなの。小さい頃、あたしにスキーを教えてたお母さんが、ケガしたの」
「俺のこと心配してんの?」
できないし、やりたくない。
あたしのせいでお母さんは、足を複雑骨折、右腕を骨折した。
だからもし、陽がケガなんてしたら
あたしは陽のそばになんていられない。
「俺、スゲー運動神経いいんだけど?」
「あたし……陽がケガしたら、陽のそばにいられないよ」
「絶対、大丈夫! 俺を信じろ」
陽の強い口調があたしの心を安心させた。
あたしは、陽を信じているから……
いわれるままにリフトに乗った。
「まだ不安?」
「うん……」
「俺がこうして後ろについてる。ぴったりくっついてるけど、俺のスキー板は踏むなよ?」
「プレッシャーかけないで……」