空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜
真っ赤なあたしをみてまた、いたずらっぽく微笑んだ。
「絢、顔赤いよ」
「……誰のせいだと……っ」
「へぇ。だれのせい?」
わかってるくせに……。
あたしは陽の一言に翻弄される。
「立ち話もなんだから、あがって行ったら?」
「いえ……。これからバイトなので。これで失礼します」
「そう?」
「はい。お気遣いありがとうございます。 じゃあな、絢」
バイトなんだ……。
雨はいつの間にか止んでいた。
傘をたたみ、陽はあたしとお母さんに別れを言うとかえっていった。
でも……
なんだか胸騒ぎがする。
この鈍感なあたしが感じるくらい。
この時は、あるはずないって思っていた。
陽と別れる日なんか来ないって。
今となっては、あの頃のあたしは浅はかだったと思う。
「夕食の用意、手伝ってねー」
「はーい」
お母さんは家に入るなりそういった。
胸騒ぎはおさまらない
あたしの嫌な予感。
どうか的中しないで……。