空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜
優と一緒にいるのは楽
一緒にいる時間はあっという間だけど、流れる時間は穏やかで心が安らぐ……。
ただひとつ、変わったことといえば……
あの修学旅行の日から、優はあたしの写真を毎日ケータイで撮っている。
でも、見せてくれなくて。恥ずかしかった。
あたしの喜怒哀楽な姿を撮られていると思うと……
――カシャ。
「もう優。また撮った~。見せて!」
「ダメダメ、ほら勉強するぞ。俺にはお前に勉強を教えるっていう使命があるからな」
「使命って……。もう!」
優はそう言って、とり合ってくれない。
あたしたちはそんなふうにテスト週間中も過ごしていた。
そして、テストが終わり……。
「あ……順位、あがってる……!」
優が勉強をおしえてくれていたおかげで、順位があがった。
「優! 何位!?」
「俺、3位」
「自慢した……」
「バカかお前は……。絢が聞いたから答えたんだろ」
クラスでもよくしゃべるあたしたち
周りはにやにやしている。
由美は呆れ笑って、奈菜は微笑んでいた。
「うそー…… 一ノ瀬くん1位だよ……」
上位10位を見てきた女の子が口々に言っていた。
陽は、テストのときだけ別室で受けていたと聞いた。
授業も出てないのに1位……。
かなわないな。
今は自然に懐かしむことができる。
「あいつ……むかつくな……」
「優?」
「授業も勉強もしてないくせに、1位っておかしいだろ」
むかしから負けず嫌いの優は、髪をクシャっとした。
この仕草……。
陽にそっくり
でも、もう心は痛くない。
あたしは思い出にしたんだ。
陽との出来事もすべて……
そう
思っていたのに―――――…