空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜
あたしはこの日、優とのデートを断って、神社に向かっていた。
近所でも有名な神社
願いはただひとつ……
優とずっと一緒にいさせてください
「寒くなってきたなぁ……」
白い息を吐きながら
神社への石段を上がった。
たくさんの絵馬が目に留まる。
青く雲ひとつない空の下
あたしは絵馬を書いてかけようとした
でも――――…
目に留まった絵馬に、涙があふれる……。
どうして、こんなことするの?
どうしていつも……
遠ざけておいて、こんなこと……。
【絢に幸せが訪れますように 10月8日 一ノ瀬 陽】
信じたくなかった
この日付は、間違いなく今日……
大好きだった陽の右上がりの字
きれいで見やすい陽の字……。
「陽…っ…ようっ…」
絵馬に触れて涙を流す。
こんなドラマみたいなすれ違いって、本当にあるんだね……。
もしかして……
そう思いその絵馬の後ろの絵馬に手をかけた。
涙が止まらなくなる
【絢の笑顔が戻りますように】
【絢がいい人と巡り合いますように】
あたしのことばっかり……。
陽の書いた絵馬は、別れるずっと前の日付のものからあった。
別れる前から……あたしのことばっかり祈って……。
陽は、どうして……?
こんなことを願ってくれていたなんて気づきもしなかったよ……。
陽……。
あなたは今、
だれを想っているの?
どこで
どんなことを思っているの?
あたしは、自分の気持ちがまた
わからなくなった――――……