きみでよかった



本当は呼び止めてもらえて
手を握ってもらえて

すごく嬉しい。


でも、この気持ちを
押し殺しておかなきゃ
あたしはここで
崩れてしまう。

甘えてしまう。

この気持ちを言ってしまう。


そんなとき


「嘘だよ!」


きみは、鼻水たらたらな
あたしにとんでもないことを
暴露した。


目をぎゅっと瞑ったのと
同時にきみの掴む手が
強くなって、声がした。

いつもより、力強い声が。



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