子猫が初恋提供します。
「それにしても、さっきの《わかんない》はずるいな。」
唐突にそう言うとにやりと笑った。
「だ…だって!」
何せ恋愛初心者だし!
ほんとにぐるぐるわからなかったんだもん。
「にゃあは俺よりよっぽど人の気持ちによく気づくのに、俺に説教までしたくせに…
にゃあ、変~。」
「……!?」
確かに説教?はしたような気がしなくもないけども…夜にだけは変なんか言われたくない……!!
これは聞き捨てならないと文句を言おうと思っていたのに…
「…もっと早く気づけよ。
俺はにゃあが傍にいてくれると、ちょっと人間らしくいられる気がするんだ…。
一番近くにいてくれないと…困る。」
「………!!」
困ったように笑うと、あたしの耳に囁いた。
「にゃあ…俺が空っぽの俺に戻んないよーに…ずっと、いて……?」
身体に回された夜の腕にグッと力がこもり…苦しいほどだった。
「夜…?」
問いかけると微かに力が緩んだ。
「いっぱい、俺を好きになって…?」
「……!」
不安そうな声に胸が、きゅんとした。
「もう、いっぱい…大好きだよ…。」
「………!」
あたしだって、もう…夜のあったかな腕がなきゃダメなんだよ。
夜が……間違いなく、大好き。
しっかり自覚…しています。