子猫が初恋提供します。
もう夜来てるのかな?
相変わらずドキドキ弾む胸を何とかやり過ごそうと、校門をくぐる前に息を吐いた。
校内に入ってローファーを下駄箱に入れると…
「子猫ちゃーんっ!!」
「……!」
弾んだような明るい声にパッと振り返ると、目の前にはニコニコ笑顔の美人さん。
「リズ先輩!おはよーございます!」
「きゃー!もう今日も可愛いっ!」
笑顔で挨拶をすれば、あたしを細い腕でぎゅうっと抱きしめる。
ふんわり香る香水の大人っぽい香りに何だかどぎまぎ。
仁志田リズ(ニシダリズ)先輩は、あの呼び出し後…嘘みたいに打ち解けてしまった夜ファンクラブの会長様だ。
なぜかあたしのことまで気に入ってくれた彼女は、顔を合わせるとこんなふうに抱きついてくるようになっていた。
あの時が嘘みたい。
あたしに手をあげて夜をひっぱたいてしまったのリズ先輩だったもんなぁ…。
つい最近のことなのに何だか随分遠い過去のようで、すごく不思議。
でもそう思えるくらい今の関係が良好であたしもリズ先輩が大好きってこと。