子猫が初恋提供します。
「じゃあね、にゃあたん♪」
「…は、はい!」
《にゃあたん》にひきつりつつも、二年生のリズ先輩とは階が違うから廊下突き当たりの階段で手を振って分かれた。
短いスカートをひるがえして、タンタンっと軽やかに階段を駆けあがるリズ先輩の足音が遠のいていって、あたしも自分の教室に向かった。
夜はまだ自分の教室だよね?
いつ来るかな?
HR後には来てくれるんだろうか…。
でも…そっか…
珍しく早く、しかも引きずられずに来てくれたのか…。
リズ先輩の言葉を思い出し、思わずムズムズと緩む顔。
あたしの横を通り過ぎた男子生徒がそんなあたしに怪訝な目を向ける。
ヤバイ、ヤバイ…っ。
キリッと顔を引き締めて前を向いたけど…いかん、にあのほっぺたはふにゃふにゃだ。
締まりないほっぺたをむにっと掴んだあたしに――
「何、ニヤニヤしてんのよ?不気味っつーの。」
「…ふぎゃっ!?」
――――バシッと後頭部に容赦のない衝撃が走った。
涙目で振り向いた後ろには、眉間にしわを寄せて腕を組んだ蓮が立っていた。
「色ボケにあ。」
「……!!」
もう気づいてる!?