子猫が初恋提供します。
「おい、にゃあの友達ー。…にゃあまだ?」
突っ伏したまま顔もあげずに…夜はどうやら蓮に話しかけているらしい。
顔もあげないので、当然あたしがいることに気づく様子はまるでない。
「何よ…その呼び方。」
蓮もあたしがいることを告げることなく夜に呆れた声を返した。
「だって俺、おまえの名前知らねーんだもん。間違えてねーだろ~?」
めんどくさそうな夜の返事は、どこかふてくされているような響きだった。
「…知る気もねーの間違いでしょうよ。」
素っ気なく遠い目を夜に向ける蓮に、何だ…この会話…とムズムズ笑いが込み上げてきて、思わず口を両手で押さえた。
その瞬間に、ギロリと蓮から睨まれ焦る。
「…にゃあまだ?」
あたしが焦ってることなんて知るよしもない夜は、また同じ言葉を繰り返した。
「あんた人の話し聞いてないでしょう…。」
「あー?……にゃあまだー?」
「………。」
「……!!~~~…っっ」
…それには耐えられなかった。
「あは…っ!あははは!!夜しつこい…!」
「うるさいわよ…!にあ!!」
「……!!」
あまりにも人の話しを聞かずに同じ言葉を繰り返す夜に吹き出した。
あたしが蓮に怒鳴られた瞬間、夜は勢いよく顔をあげた。
黒曜石の瞳が、あたしを見つけてキラキラと輝いた。
「にゃあ……!!」
「……!!」