子猫が初恋提供します。
しかし蓮ねぇさまは本気で怒っていらっしゃるのだ。
あたしは綺麗な顔を吊り上げて鬼の形相になった蓮を前にヒィッ!と縮みあがった。
…小さな頃から蓮に厳しく教育されてきた条件反射ともいいますが。
だけど、この大迫力の怒れる蓮を前に…きょとんとするばかりの夜の頭の中はどうなってるんだろう…。
そっと様子を伺ってみる。
「…!」
夜はニッと笑顔を見せた。
「まぁ、そんなに怒るな…蓮。悪気はねぇぞ?」
「……。」
いや、悪気ないって……自分から言っちゃうんだ…。
「誰が呼び捨てにしていいって言ったのよっ!?」
これ以上は蓮の血管きれちゃうかもしれない……。
ちょっと、黙っててほしいなぁ…と密かに願う。
でも…夜には言わなくちゃ伝わらないし、何よりほんとに夜に悪意なんてものはない。
「……じゃー、蓮さん。」
「「……!?」」
蓮……さんっ!!?
再びギョッと固まるあたしと蓮さんに、夜はまた屈託のない子供みたいな笑顔でこう言った。
「別におまえをからかうつもりはねぇぞ?
面倒見のいいヤツは相手を大事に思いやれるいいヤツだ。
さすがにゃあの友達だな。」
「……!」