子猫が初恋提供します。
「俺まだにゃあといたい…。デート…ダメ…?」
「っ!?」
あたしの席に近づいて机に手をついて座り込んだ夜。
珍しい宝石みたいに黒い瞳が何だかちょっと潤んでいて、チラリ下から見上げるように見つめられる。
そんな…っ、そんな目、反則……!
あたしどころか周囲まで反応しちゃってるよっ!?
クラスの女の子達がざわめきだしたのに思わず慌ててしまう。
「…だ…ダメじゃない……っ」
それを言うのが精一杯。
「じゃーすぐ行こー。」
「ひゃあっ!?」
途端にさっきまでのしおらしさを脱ぎ捨てた夜は、あたしを軽々抱き上げた。
突然変わった景色に思考がついていけずに、夜の首にしがみついてぱちぱちと瞬きばかりを繰り返す。
チビなあたしはそんなふうに抱き抱えられると、まるで小さい子供みたいで恥ずかしい。
「………。」
「……っ」
いつもは見上げてばかりの夜と…同じ目線で視線が絡み合う。
瞬時に反応して赤くなったあたしを見て、夜はフ…と笑った。
「…いいなコレ。同じ目線でにゃあが見れる。」
「~~~!」
…なんて、ご機嫌で笑った。
あたしはコレ…無理だよ…。
だって、こんなに近くに夜の顔があっちゃあ…心臓壊れてしまうもの。