子猫が初恋提供します。




二人で手を繋ぎ隙間なくぴったりくっついてベンチに座って、姿を変えた空を眺めてた。



「…帰るか。…帰したくねぇけど、蓮さんと約束したからな」



夕焼け空を見上げたままの夜の正直な呟きに笑ってしまいそうになりながら、繋いだ手を引かれ立ち上がる。



あったかそうなオレンジ色に染まった公園に、あたしと夜、繋がった二つの濃い影が伸びた。



「あ、忘れるとこだった。にゃあ、手ぇ出して」



「?」



夜に言われるまま繋いでいない方の左手を差し出す。



――――チャリ…



「これ…?」



手の平に乗っかったのは、百円玉が二枚と五十円玉が一枚…。
手の中にある銀色のコインにきょとんと首を傾げた。



「ジュース代。さっき渡し損ねた」



「えっ!?いいよ!しかも多いしっ」



慌てて手を突き出した。



さっきって言ったけど…あたしが振り払っちゃった時?あの時もこれを渡してくれようとしてたの?





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