子猫が初恋提供します。
思いを馳せた時、夜が突き出したあたしの手を押し返した。
「釣はいらねぇ。取っときな」
「はっ!?」
真顔でいったい何を…!?
「昨日、時代劇見た」
プププと口に手をあてて笑いながら、そのままあたしの手を引いて公園の出口に向かって歩き出した。
「かーらーすがーな~くーからかーえりーましょ~♪」
「夜っ!あの…っ」
歌い始めた夜は、もうこの話しは終わりとばかりにあたしに話す隙をくれなかった。
きゅっとジュース代を握りしめ、スカートのポケットに入ってるハンカチにくるむように押し込んだ。これで少しは音がしないだろうし。
…お財布にしまうには繋いだ手を離さなきゃいけなくなるから。
あったかな手を何か今、離したく…ないから。
「夜…ありがとう」
手を引かれながら、夜のまっすぐ伸びた背中にお礼を言った。