子猫が初恋提供します。
真っ赤になって夜に不意打ちをくらったうなじを押さえ振り返った。
にぃんとしてやったりな顔の夜に、ますますカッと顔に熱がついてしまってあたしは口をパクパクするだけで声をうまく出せない。
どうやら目撃していたらしいクラスメート達も、ざわざわとにわかに騒ぎ出した。
「…ったく、懲りない男ねー」
呆れた声を漏らした蓮がガタリと席を立った時
『キャー!』
「!」
ん?何か廊下の方が騒がしい…?
教室の壁の向こうからきゃあきゃあと女の子達が盛り上がってるような声がしてる。
なんだろう?…そう感じた直後
――――ガラッ!
「そこぉっ!朝っぱらから見せつけんの禁止」
「!」
勢いよく開いた教室の扉と大きな声に一斉に振り返る。
女の子達から「キャー!」っと黄色い歓声があがった。
そこには、見覚えのある明るい茶髪と優しげなちょっとタレ目な爽やか王子様風のイケメンの姿…
この人…!
それはここ最近とにかくよく耳にした人物だった。
慌てることなくだるそうにイスに座った夜は、イスの背もたれに背中を預けギィギィとイスを鳴らしながら彼の方に首を向けた。
「なんだ嵐。なんか用か?」
「らん!?」
それになぜか蓮が大袈裟なほどの反応を見せて振り返った。
「おはよー、嵐」
「何がおはよーだ」
腕組みをして扉の前に立つのは、夜の幼なじみ篠崎 嵐先輩だった。