子猫が初恋提供します。




「夜……いつも通り叩き起こしにおまえん家に行ったらもう出てるってどういうことだ?」



フェミニンな王子様フェイスを不機嫌に歪めながら、教室に入って来た篠崎先輩はじろりと夜を睨む。



その口振りや朝早くに学校に来てる夜を見て驚く人がいるように、夜はどうやら朝が弱くていつも篠崎先輩から起こされて学校に来ているようだなぁ…。



「今日は一人で起きられた。にゃあに早く逢いたいパワー」



「わざわざ起こしに行ってやった俺が馬鹿みたいだろうが!そんな力備わってんなら報告してくれよ!?」



「嵐もーうるせー」



「なにぃっ!?」



怒る篠崎先輩に油を注ぐ夜。うるさそうに耳に指を突っ込んでその態度も最悪だ。



突如揃った学園の二代王子様二人の言い合いに女の子達が色めきたって熱い視線を送ってる。



…そんな中、たった一人だけ実に冷めた目を向ける女子がいた。



「あれがアイツの言ってた嵐なわけ…?」



「えっ?」



突然蓮がポツリとつぶやいて…ぎゅっと眉間にしわを寄せ二人を見ていた。



「あー…うん。あたしもまだあんま面識ないけど、そうみたい…」



何だか明らかに機嫌のよろしくなさそうな顔にちょっとビビりつつ曖昧な答えを返した。



実はあたしも入学式の日に一度会っただけ…。その後は女の子達から聞いた噂話や夜から聞くイマイチな話のみで得に会う機会もなかったのです。






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