子猫が初恋提供します。
「さすがはタラシの国の王様だ。それは出会いから2秒の出来事でした」
険悪な雰囲気に夜がまた気の抜けるようなことを言う。
「2秒は言い過ぎだぞ。2秒は。というか夜には言われたくないな、俺」
篠崎先輩は心外だって顔をすると、ちらりとあたしに意味深な目を向けた。
なんだ…?一瞬考えちゃったけど、ーーーピンときたらカッと熱が爪先から頭に到達だよ。
あたしこそ出逢って2秒でキスされた人間じゃんっ。
「嵐と一緒にすんな。俺は蓮さんには反応しません。……にゃあだけに反応すんの。ねー?」
「!?」
ねー?なんて可愛く同意を求められても、恥ずかしさに赤くなるばかり…
「はーい、そこ、ラブラブすんの禁止ね」
徐々にあたしに近づいてきた夜を、篠崎先輩が慣れた素振りで制服の首根っこを掴んで止める。
「嵐のくせに邪魔すんなー。つーかおまえ何しに来たんだ?蓮さんのナンパか?」
鬱陶しそうにもがきながら、夜が篠崎先輩をじとりと睨む。
「俺のくせにとはどういう意味だよ…。蓮ちゃんに逢えたのは嬉しかったけど、今はおまえを連れに来ただけ。いつまでも1年生の教室に居ないで自分の教室に戻るぞ」
「えー、やだ。俺にゃあと一緒がいい」
「はいはい。まさかおまえ放課後の約束も忘れてんじゃないだろうな?」
「何それ?知らねぇよー。つーかまだちゅーもしてねーのに~!にゃあー!」
ポカンとするあたし達を残して、夜は篠崎先輩に引きずられて行った。
「放課後の約束って何だろう……?」
呟いたけど、不機嫌な蓮は何にも答えてくれませんでした…。