子猫が初恋提供します。




授業が始まっても、夜の放課後の約束が気になって仕方ないあたし。



相談にのってもらいたいけど、蓮は終始ご機嫌ナナメなワケで……そんな蓮におのずと篠崎先輩が連想されちゃう夜の話は出来る訳がない。



いっそのこと中休みにでも聞いてみようって思ったのに、今日に限って夜は現れない。



さすがに2年生の教室まで行く勇気はないしなぁ…。(いつも平然と1年生の教室にやって来る夜ってすごい)



周りを見渡して席を立って談笑するクラスメート達の声を聞く。
いつもと同じなのに、夜の来ない教室はいつもより静かに感じた。



篠崎先輩が言ってた約束だし、放課後…夜を好きな女の子が告白するために待ってるとか…?はたまた、ご…合コンの約束だとかっ!?



「……」



自分の席でモヤモヤとする胸にそっと手を当ててみながら、ふっと短く息を吐いた。



何勝手に妄想して焦ってるんだろ…



夜のことであたしが知らないことに不安になってるとか……バカみたい。



知らないことなんてまだまだいくらでもあるのに。こんなんじゃあ身がもたないのに。



でも、気になって気になって妙な妄想が離れないよぉーー!



(先輩さえ来なきゃあ……っ)



夜に対する自分の独占欲が、何だか知らないうちにおっきくなってることに気づいて、篠崎先輩を無駄に責めたくなるあたしは責任転嫁の悪い子です。




< 187 / 256 >

この作品をシェア

pagetop