子猫が初恋提供します。




(あれー?蓮、どこ行っちゃったんだろ…)



あたしは廊下をキョロキョロ見渡しながら蓮を探して急ぎ足。
せっかくの夜の試合だから蓮と一緒に見たいと思って。



篠崎先輩のことがあったから、蓮が一緒に行ってくれるかは微妙なとこなんだけど…。



まぁ、ダメ元って事で。



「試合何時からだっけー?」



「水澤君出てくれるかなぁ」



歩きながらちらほらと違う制服を着た生徒達とすれ違う。
レトロな濃紺の可愛いセーラー服は、お嬢さま学校で有名な私立聖花女子学院の生徒みたい。



一緒に歩くグレーのブレザーは私立咲榮(サキサカ)高校。偏差値の高い上にスポーツでも名高いこれまた有名な男子校。



今日の対戦相手は咲学バスケ部だったんだなぁなんてすれ違いながら思う。



確かバスケの強豪校じゃなかったっけ?



夜、大丈夫なのかな…



夜はなんでも出来るけど、スポーツしてるとこってまだ何げに見たことのないあたしは、強豪校の出現に意味もなくオロオロしてしまった。



「今日の試合だけどー…」



「!」



そして、廊下の向こうからは咲榮のジャージを着た人達が…!



長身の集団に不審げに見下ろされて思わず固まってしまった。



彼等が通り過ぎると思わずホッと息をついた。



早く蓮を探して応援に行かなくちゃ!




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