子猫が初恋提供します。
現れたのはちょっと軽そうに見える…明るい茶髪のこれまたイケメンだった。
「……嵐(ラン)。」
彼はあたしに手を引かれたまま現れた人にそうつぶやいた。
「いつもの中庭で昼寝してると思ってたのに……。
入学式サボってどこいたんだよ?
おまえの変わりに俺がどれだけ女の子たちに追いかけられたことか……。」
「………。」
そう言うと、明るい茶髪をかきながらため息をついた。
黒い瞳のイケメンは、その言葉に心底嫌そうに眉をしかめた。
親しげに話す様子から…どうやら二人は知り合いらしい。
「………!」
これって、天の助けじゃないか!?
「…あっ、あの…!!」
あたしは思い切って声をかけた。
「………!」
茶髪のお兄さんはあたしの声に反応すると、ちょっとたれ目がちな瞳を見開いてあたしを凝視した。
そして繋がれたあたしと黒い瞳のイケメンの手に視線を落とした。
「君……、」
「あの……っ!
この人…っ、具合悪いみたいなので……っ!!
保健室に行くとこだったんですけど、あたし、入学したばっかでわからないから……!
…後はお友達に任せます!!」
茶髪お兄さんが何か話し出す前に一気にしゃべって、引いていた手を渡そうとした――