子猫が初恋提供します。
「夜ー!頼むって!おまえにも3割やるしっ」
「タラシと違って無駄金使うことねーから困ってない」
しつこい嵐を適当にかわしながら俺はキョロキョロ校内を見回す。
目当ての可愛い姿は見当たらない。
チッ、タラシヤローのせいでにゃあ見つかんないし。
もう帰ったか?
ため息がこぼれ落ちた時
「ゲッ!やっばいなぁ…咲学バスケ部来てんじゃん…」
嵐の焦り混じりの声を聞いて前を向くと、デカイジャージの一団が廊下の向こうからやって来ていた。
周りにはうちと違う制服の女達が群がっていて、なんか派手な奴ら。
コイツらが今日の相手か。
探してるにゃあじゃねーし、俺には関係ねーけど。
そう思いながらすれ違った時
「つか、楓華の弱小バスケ部が相手とかまじダリーし」
「必死過ぎてウケるじゃん。1年の荒城(アラキ)出しときゃいいだろ」
「アイツ怪我で使えねーよ。練習試合なんか適当にやりゃいいじゃん。ここでの楽しみとかナンパくれーだし」
「水澤(ミズサワ)最悪だし!でも女子のレベルだけは高すぎ!さっきすれ違った子猫ちゃんみてーなの可愛すぎた!!スタイルいい美人もいたし」
「美少女いたなー!華奢で髪ふわふわ、肌白!触りてー!」
「それな。試合見に来んじゃね?さっきの体育館の方行ったろ。楽勝で勝って狩り行こうぜ」
その言葉を後にギャハハ!と品のない笑い声が弾けて遠ざかって行った。
「あいつらマジ最悪だわ…なぁ、夜、さっきの……!」
奴らの後ろ姿に目を向けたままの俺を見て、嵐が言葉を詰まらせた。
「……試合出る」