子猫が初恋提供します。
相手チームもダラダラとアップを始めた。さっきの奴らはベンチでふんぞり返ってるとこを見ると、試合に出るのはコイツらじゃないんだろーなと考える。
後で嫌でも引っ張り出してやるからいいけど。
「あ〜、さっきの子猫ちゃん見ーっけ!」
「マジ!?水澤早すぎ。つーか隣あの時の美人じゃね!?」
ベンチで騒ぎ出した奴らの視線の先には思った通りにゃあがいて、気がつかなかったけど隣には蓮さんがいた。
…やっぱりコイツらが言ってた子猫ちゃんって俺のにゃあだったのか。
俺はにゃあに向かってにこっと笑うと、相手チームのベンチに向かった。
俺の行動に気づいた新堂先輩が足のギプスを忘れた勢いで立ち上がり、「藤間くーんっ!?うちのベンチこっちぃー」とか言ってるけど無視。ンな事知ってるし。
嵐も慌てた声で「夜きゅんっ?そっち行っちゃダメですよぉー!?」ハイ。無視。タレ目語ワカンナイ。
いきなり現れた俺に咲学生もザワつき出した。
ベンチのクソヤローも自分の前に来た俺に怪訝そうな顔。
「何か?」
「うん。俺、おまえ敵認定したから」
「はぁ?」
さらっと笑顔の俺にワケわかんないって顔をしたクソヤロー。
近くで見ると顔だけは爽やかスポーツマンなんだなー。水なんとかって名前は覚えるつもりないからいいや。
「じゃー、そういう事だから」
「だから意味わから…おい!?」
言いたいことだけ言った後は困惑しまくりの奴らを置いて、俺は次の目的に視線を向けるとそのまま歩き出した。
近づく俺に驚いたように目を丸くしたにゃあに、俺はまたにっこり笑いかけた。