子猫が初恋提供します。
☆放課後は本気の予感3





「にゃあ」



「~~~っ!」



目の前に現れたユニフォーム姿の汗までキラキラな夜にノックアウト寸前のあたし。



「がんばるからちゅうして」



「ひぇっ!!?」



確かに夜の応援に来たんだけど、いったいこれはどういう状況!?












ーーーー1時間ほど前




どうにか見つけた蓮にお願いしますと手を合わせ、拝み倒してようやく渋々OKの言葉をもらったあたしは、意気揚々と練習試合の会場になる体育館に向かった。



体育館は満員御礼もいいとこで、あたしはどうにかして見えるところをと必死になって場所を確保。…結局あんまり見えにくい出口近くの隅っこだったけど。



相手チームの応援側も盛り上がっていて、咲学は男子校だけど聖女の制服を着た女の子達がたくさん応援に来ていた。



『聖女と咲学って仲いいんだね』



『はぁ?あんた今更何言ってんの』



何気なく呟いたあたしを蓮は呆れた顔で見た。



『あの2校はお互いくっつくのがジンクスみたいになってるじゃない』



『何それ?』



くっだらない話だけど…と前置きをして、蓮は懇切丁寧に教えてくれた。



ある年、2校での結婚が相次いで、しかもみんな今でも仲睦まじく幸せに過ごしてるって事で、互いの相手は他でくっつくより幸せになれるなんていう都市伝説的なものが出来ちゃったんだとか。



『まぁ、お坊っちゃんお嬢さま学校だし、うまい具合な相手ってだけでしょうけど。ちなみにあんたん家とうちの家もその都市伝説の一端をになっちゃったんだけどね』



『!?パパとママ達の年なの!?』



うちの両親と蓮の両親も実は咲学生に聖女子だったりする。
確かに今でもふた組とも子供が呆れるほど仲良しだけど。
そんな伝説?があったのは全く知らなかったなぁ。
あたしも蓮も親には聖女を進められたけど、楓華に憧れてたから考えもしなかったんだよね。



『最近は咲学もタチ悪いの増えてて、聖女との真面目な交際の繋ぎみたいな感じで他校の女子を見てるって噂あるし…今日来てる奴らにも気をつけんのよ。あんたボケっとしてるから』



『ふぅん。てか、ボケっとって…』



そういえばさっきすれ違ったなぁ……咲学のバスケ部の人達、聖女の可愛い女の子に囲まれてたよね。



なんかこう、あんまいい印象はなかった気がする。じとぉっと人の事見たような気がしたからかな…。



まぁ、そんな話聞いちゃった後の先入観かもだけど。




< 196 / 256 >

この作品をシェア

pagetop