子猫が初恋提供します。

ーーーーピィーーー！！



ホイッスルが高い音を立てて体育館に鳴り響き、ジャンプボールが高く上がった。試合開始のジャンプボールを制したのは咲学だった。



あたしも高まる胸に思わず身を乗り出した。



チームメイトはボールを追いかけてすぐに動き出したけど、夜はまだ余裕でコートに立っていてーーーおもむろにバスケットシューズの靴先をトンと鳴らしたのが合図だった。



「……っ！！？」



速い、速い、速い……！！



動き出したと思ったら夜はもうボールを手中に収めてドリブルで走ってた。



キュッ、キュッとシューズの音を立てて、フェイクをかけながら相手を翻弄する夜はバスケをあまり詳しくは知らないあたしが見てもすごく上手いと思った。



ーーーーザッ！！



夜が先制点を入れたボールがゴールをくぐる音に体育館がわっと湧いた。



夜に対する声援が凄すぎて耳が痛いくらい。ここにいるみんなが夜に釘付けになってる。



(心臓、痛いよ…！)



夜、「俺だけを見てて」なんて、言う必要なんてないよ。



かっこよすぎて、目なんて離せない……！