子猫が初恋提供します。




「なによそれ。確かに藤間夜兎は凄いかも知れないけど、レギュラー相手に一点も入れられずによ?」



気の強い蓮は恨みのある篠崎先輩への反発心もあるのかいつになく子供っぽくも見える態度で突っかかる。



そんな蓮の様子に篠崎先輩は一瞬だけ目を見はったけど、すぐに口元にあの王子様みたいな笑みを浮かべた。



「わかってくれないならいいよ。でも、親友をそんなふうに言われるのは心外だしー……それなら蓮ちゃん、俺と賭けようよ」



「はぁ?」



いきなりな提案に蓮が訝しげな顔になる。
あたしもこの人いきなり何言ってんの?と声も出ない。



篠崎先輩はあたし達の反応なんてものともせずに笑顔で続ける。



「いいでしょ、別に。俺は夜の一人勝ちに、君は一人勝ちは出来ないに。

俺が賭けに勝ったら蓮ちゃん、ーーー俺とデートね」









「……………はあぁ!?」






一瞬、鳩が豆鉄砲状態になった蓮は、たっぷりの間を置いて叫び声を上げたのだった。



状況を飲み込めずに口パカ状態で一人惚けるあたしを見た篠崎先輩がにーっこりとそりゃあ麗しく微笑んだ。



< 209 / 256 >

この作品をシェア

pagetop