子猫が初恋提供します。
「ウソでしょ………?」
試合を見ながら蓮が呆然と呟いた。
視線の先では夜がそれはそれは綺麗な放物線を描いてスリーポイントシュートを決めていた。体育館中が歓声でドッと沸き上がる。
もう残り時間はわずか。咲学の相手チームはみんな試合前とはまるで違う愕然とした顔でなんとかボールを追いかけてる。
「…っ!冗談じゃないわよ!相手チームへばってんじゃないわよ!?」
蓮は青い顔で堂々と相手チームを叱咤していた……。きっとなりふり構っていられなくなったんだなぁ。
「ほら、蓮ちゃん。落ち着いて」
「黙れ!!タレ目!!」
「……その呼び方やめない?」
篠崎先輩がなだめようとしたところで火に油だからやめたほうがいいと思うあたしです。
蓮、いよいよ口から火でも噴きそうな勢いだ。
でも蓮が焦ったところで夜の勢いも止まりそうにない。夜は一人次から次に得点を重ねる。その上チームメイトのフォローをしながら的確に動く。背中に羽でもはえてるみたいに軽やかに動く夜に、あたしだけじゃない体育館中のみんなが釘付けになった。
ーーーーピィーーー!!
「!」
そうして、高らかに鳴るホイッスルが試合の終わりを告げた。