子猫が初恋提供します。
いつも通りの帰り道を歩いているはずなのにうまく歩けている気がしないよ…。例えばお酒に酔っ払った大人ってこんな感じなのかなぁ。熱くて赤くてドキドキです。
頭の中を『日曜日』『夜の家』『ごほうび』がエンドレスで回ってる。
チラリと隣を見れば、わかりやすく動揺しまくるのはやっぱりあたしだけで、隣を歩く夜はいつも通りマイペースを崩さない。
なんか、くっ…悔しいなぁっ!
恨めしげな目を向けていると、気づいた夜があたしを見て、バチッと合う視線。
あたしに向かってニコッと笑った夜の顔には、まるでご機嫌と書いてあるようだった。
「にゃあがうちに来るとかちょー楽しみ」
「っ!」
ほんとに嬉しそうに感じるはにかんだ笑顔に、トクンと胸が温かな音で鳴る。
どうしよう、困ってたことなんて吹き飛びそう。だってその顔は反則だよ。
夜の笑顔から視線をそらして、冷めてくれそうにない顔の熱をこっそりパタパタ手で扇いだ。
夜はご機嫌にまた話し出す。
「俺ん家のー、俺の部屋でー、思いっきり!イチャイチャすんの」
「!?」
背けていたあたしの顔をワザと回り込んでのぞき込みながら見る。素晴らしい反射であたしの顔は更に熱をもった。
これ以上赤くなりようがないくらい赤くて、熱くて、ドキドキのバクバクで……
あぁ、あたしってばーーー―夜に酔わされているみたいだ。
「みっ、未成年なので………!」
「?俺もよ?」