子猫が初恋提供します。
★意味不明の気持ち
【side夜兎】
パタパタと逃げるように走り去る小さな後ろ姿を見送って……
その姿が完全に見えなくなると妙にがっかりした。
「…どういうことか説明しろよ……。病気とか保健室とか…
しかも、あの子は誰だ?」
そんな俺をじとりと睨み付けるように、幼なじみの篠崎嵐(シノザキラン)が見ていた。
嵐はあまり人付き合いが好きじゃない俺の数少ない友達の一人。
「んー…?
…あぁ、俺……病気らしいよ。」
未だ彼女が走り去った方に目を向けたまま、嵐に答えた。
「頼むから…
それをわかるように説明してくれ……。」
嵐はがっくりと肩を落として顔を片手で覆った。
「……嵐、俺はおかしい。」
「…おまえはいつもおかしいよ。」
半目で言われたけど、無視した。
「あの子……にゃあが側にいるとドキドキして…苦しい。
……なんでだ?」
「………!!?」
そう言ってやっと嵐に視線を向ければ、たれ目をこれでもかって見開いて
ご丁寧に口まであけたマヌケ面で…あり得ないモノでも見るように俺を見て固まっていた。