子猫が初恋提供します。
告白からたっぷり間を開けて、大きな目を見開いたママが手にした紅茶を一気に飲み干す。
そんなに動揺したんですかママ…。
プハーッと息を吐き出して、覚悟を決めたみたいにあたしに向き直った。
思わずあたしも姿勢を正す。
「そっか、うん、もう高校生だもんね。ママもパパと付き合い出したの同じくらいの時だったし。…どんな子?」
好奇心がにじみ出てるママの質問に夜を思い出してポッと頬に熱がついた。
「えっと………かっこいい!す、すごく!それに可愛い…あと、すごく、あたしを大事にしてくれる…あと、あとっ、」
テンパり気味に夜のことを話し出すと次から次に出てくる夜の素敵なところ。ママに知って欲しくて、ちょっと興奮しながら話しているとそれを聞くママがクスっと笑った。
「にあってば彼を本当に好きのね」
「っ!」
かあぁっと真っ赤になって恥ずかしさに喋れなくなってしまったあたしにママは、からかってるんじゃないのよと微笑んだ。
「どうして教えてくれる気になったの?にあはパパに似て照れ屋だからこういうの恥ずかしがって言えないでしょ?」
色々見抜かれていてやっぱり恥ずかしくなった。
「日曜日、お家にお呼ばれしてて…、迎えに来てくれるの。絶対黙って連れてく人じゃないと思うから、あたしもちゃんと言っておきたくて……その、」
ゴニョゴニョと尻すぼみになっていくあたしの話しを真剣に聞いていたママはどこか安心したように笑って
「いい子と付き合っているのねぇ」
と、嬉しそうに言って、「ちゃんと教えてくれて嬉しいわ」とにっこりした。
そして、
「問題はパパね」
…と。
しかし、作戦を練る間もなく…
「にあに……………彼、氏……………?」
「やだ!!ダーリンいつからいたの!?」
「パパ!?」
ギギィと開いたリビングの扉の向こうから青い顔のパパが現れたのです。
真っ青なパパを引っ張るようにしてママは「パパは任せて!」と言って二人の部屋に行ってしまった。
こうなったら後はママに任せるのが最良だし、動揺をどうにか引っ込めてあたしは一人食後のお茶を飲むのだった。
「…はぁー、お茶美味しい」