子猫が初恋提供します。


「かっこいいなー。にゃあのパパ」

「!?」


固まるパパに対しても、夜は相変わらずいつものマイペース。
にこりと笑うとパパに向かって無邪気にキラキラした黒い瞳を向けている。


「ほ、ほらぁ、パパったら!にあの彼氏くんの夜くんよー!」

固まるパパに説明するのを放棄していた焦るママの一言にハッとして、止まりかけた時が動き出す。

「はじめまして。にゃあのママにゃあそっくり。キレイ」

夜はママに向かってもにっこり笑いながら挨拶をしてくれた。

「やだー!うまいんだから!にあがいつもお世話になってます。
今日はお家にお邪魔になるなんて、ご迷惑じゃない?」

焦っていたママだけど、そこは仕事がら度胸は満点。初めて見たイケメン夜に褒められて上機嫌だ。

それにもパパが複雑な顔してるけどね…。しかもお家にのくだりでまた目見開いてたよ。これは本当に何も説明してないな。
あたしはちょっと遠い目をしてしまう。


「ぜんぜん。逆にすごく楽しみにしてます」

でも夜はいつも通りマイペースにそつなく答えると、今度はあたしに笑顔を向ける。

「っ!」

不意打ちなそれにあたしの心臓は跳ね上がった。

「帰りはまた送って来るので、今日はにあを借りてもいいですか…?」

そして夜はパパに向かっていつになく真剣な瞳をしてそう言った。

パパは夜の瞳をじっと見返しながら

「……どうぞよろしく」

内心動揺しまくっているだろうけど、微かな苦笑をもらして、夜に向かって静かに答えてくれたのだった。
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