子猫が初恋提供します。


パパとママに見送られて、無事にうちを出たあたしは、夜に連れられて上機嫌に笑っていた。


「夜すごい!あたし、パパが笑って見送ってくれるとは思わなかった!」


だって本当にうちのパパは一人娘のあたしにめちゃくちゃ過保護なんだから。しかも今日夜が来る事をちゃんと知ってるものかと思えば何にも知らなかったし…。


「んー?まぁ、パパってそういうもんだと知ってるからな」


夜はあたしを見るとにこりと笑って手を差し出した。


「どういうこと?」


あたしは躊躇うことなくその手をきゅっと握りしめながら、よく意味がわからなくて首を傾げた。


「うちのハル……父親もそーだから。姉ちゃんに彼氏出来た時大変だった」


「へぇー!」


夜のパパ!いったいどんな人なんだろう…!
それに夜にはお姉ちゃんがいるんだ!
夜に似てたら間違いなく絶世の美女じゃないかな!?


初めて知る夜のお家の人のことに、あたしは何だかとっても新鮮な気持ちだった。




「…にゃあのパパとママっていいな」

「?」


夜の家族を想像して一人興奮していると、不意にそんなことを言い出す夜にきょとんとする。


「仲良さそうで、子供愛してて、にゃあが可愛いのわかる。うちの親も大概だけどなー。いつか俺のことも好きになってくんないかなー?」

「夜…」


あたしはそんな夜の言葉が嬉しくて、繋いだ手にぎゅっと力を込めた。

いつかじゃなくて、きっともう好きだと思う。

だって、夜のことが大好きなあたしのパパとママだもん。


「それに、俺とにゃあのパパ同志だし」

「同志ってなんの?」


夜はその手を握り返してくれながらいたずらっ子みたいにニィっと笑った。


「にゃあ愛しまくっちゃってる同志?」

「っっ!!」


黒い瞳を少し細めて色っぽく流し見られたあたしは一気に真っ赤に染まった。


夜の家族はどんなだろう。
あたしの事、少しでも好きになってくれるといいな。

こんな夜を育てた夜の大切な人達に早く逢ってみたくなる。




「あ、そのかど曲がったら俺のウチ」

「!?」


いや、当然、緊張もするんだけどねっ!!?

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