子猫が初恋提供します。
「…」
「っ!」
み、見てる…っ。
すっごい美人がさっきからあたしを凝視してる…!
お家の人だよね!?
夜ってたしかお姉ちゃんいるんだよねっ!?
「あ、あのっ!」
「?」
勇気を振り絞って、『お姉さんですか?』そう聞こうと声をかけた。
そしたら、あたしが口を開く前に美人さんが切り出して、
「子猫ちゃんのこと、なんか聞き覚えあるなぁ?」
「えっ!?…き、聞き覚えですか…?」
こてんと首を傾げてそんなことを言う美人さんに阻まれた。
そんな仕草も麗しいなぁ。
しかし、き、聞き覚えとは…?
見覚えじゃなくてですか??
「そう、あったことはないものねぇ」
「はい…」
うん…、ですよね。
なんだろう、ものすごく身に覚えのある感覚がするぞ。
あたしの頭の隅っこで、黒いアイツの顔がチラつきました。
「う~ん、ちっちゃくて、真っ白で、うるうるで、すっごく可愛い…」
美人さんはブツブツとつぶやきながら、なにやらあたしに対する《聞き覚え》を考えているようで…。あたし、超取り残されてる。
どうしよう。
間違いなくヤツの血縁者だ。
このどこまでもマイペースなとこといい、あまり似てないけど、驚くような美貌といい。
きっと夜のお姉さんに違いない!!
あたしが確信を持ってそう思ったその時、またも扉が開かれた。
夜戻って来た!?
期待に胸を膨らませたあたしの前に現れたのは、
「ふぁっ!?」
「え?」
美女が増えた……!!!
ーーー同じ顔したもう一人の美人だった。